東プレのワイヤレスになった静電容量無接点キーボード『REALFORCE R3 (R3HC11)』を使ってみた [PR]

2021年10月に発売された東プレのキーボード「REALFORCE R3 (R3HC11)」。
言わずと知れた静電容量無接点キーボードの本家本元であるREALFORCEの第3世代モデル。現ラインナップの一般向け製品はMaster Seriesの位置付けになっており、第3世代モデルのバリエーションも相当な数になっていますが、今回はその一つであるR3HC11を試す機会をいただいたので自分なりのレビューでもしてみます。
製品 : REALFORCE / R3HC11 | REALFORCE | 日本製プレミアムキーボードの最高峰
https://www.realforce.co.jp/products/R3HC11/
製品概要

REALFORCEの第3世代は、フルサイズ/テンキーレス、有線/ハイブリッド、通常/静音、キー荷重(30g/45g/変荷重)、などの違いで現時点でも計20モデルが用意されていますから各々の詳細は公式サイトを参考に。自分が手にしたモデルはR3HC11の型番になっているテンキーレス/日本語配列で、接続はハイブリッド(Bluetooth 5.0/USB Type-Cの無線有線両対応)、キー荷重:45g(静音)でAPC機能あり、キーキャップはダークグレー/昇華印刷になっているPBT製、バッテリー:単三電池2本(電池寿命:約3ヵ月)、サイズ:幅379x奥行き163x高さ30㎜、重量:1.3kg、という仕様。

開封して中身を確認すると内容物は、キーボード本体、USBケーブル、単三電池2本、説明書/保証書、の計4点。パッケージは随分と大型で内部の梱包も随分と手厚い保護がされている感じです。
各部の特徴

本体表面。デザインは先代からモデルチェンジ、原点回帰とも言える丸みを帯びた太めのフレームに。キーレイアウトはテンキーレス/日本語配列として標準的と言える配列。奥側右にはLEDインジケーターと電源スイッチ、奥側左にはREALFOCEのエンブレムが備わっています。

本体裏面。前方が少し傾斜のかかった前方を除けばフラットな盤面で至ってシンプル。滑り止めのラバーシートは前方に計4枚も設けられており、傾斜の構造も含めてスタンドを立てた時もしっかり固定するような作りになっている。奥側の中央~右寄りに電池ボックスがあり。

本体側面。ステップスカルプチャー構造になっている。フレームは天板パネルの継ぎ目を除けばフラットな形状。

キーレイアウト。上記で標準的な配列と述べましたが下一列は各キーの大きさが先代から若干変わっているようで、多用するであろうFnキーがスペースに次ぐ大きさになっていたりと変化が見られます。

Fnキー(デバイス切り替え)。このモデルはBluetoothで最大4台の機器を登録できるマルチデバイス機能が備わっていて、その切り替えはFnキー+1~5キーで行う仕組み。自分の知るキーボードはいずれも最大3台だったので最大4台はもしかしたら最多かも。

Fnキー(エコモードなど)。F9~F12キーのところには接続状態や電池残量の確認、それとスリープの設定を変更するエコモード、変更した設定を保存するセーブ、などが備わっている。エコモードは4パターンあってスリープに入る時間も選べますが詳細は後述で。

Fnキー(音量/APC)。カーソルキーのところには音量調整とミュートそれにAPC機能の設定変更が備わっている。APC機能はアクチュエーションポイントを変更できる機能で、ソフトウェアを使わずとも一通りの変更が可能。数値などの詳細はソフトウェアの後述で。

LEDインジケーター/電源スイッチ。インジケーターは4ヶ所のLEDとカラーでそれぞれの設定を確認できる内容。どの設定でどう光るかは使っていくうちに把握できるでしょう。使用時はLEDが常時点灯していますが消したい場合はスクリーンキーボードを使ってNumLockをオフにしたら消えます。でもそれだと接続状態を認識できないので点灯しておいた方がいいかと。電源スイッチは長押しでオン/オフ、秒押しでキーマップ切り替えができるようになっています。

天板パネル・エンブレム。天板パネルの表面処理はザラついているわけでもなくツルツルでもなく比較的サラサラな手触り。エンブレムは硬質なアクリル板が埋め込まれている形、外れる事はまずないでしょう。

キースイッチ。本家本元の静電容量無接点方式、変わらずの品質で何も言う事はないです。

キーキャップ。同じREALFORCE R3でも刻印の処理やカラーがそれぞれで異なるようなので一応注意。これは製品概要で記したとおりダークグレー/昇華印刷。色合いはHHKBの”墨”みたいな感じ、他の写真だと明るめに映っていますが濃いめのグレーです。ちなみに自分はかな文字不要派、でもこの刻印は目立たず視認の邪魔にもならないので別にあってもいいかなと思います。

インターフェイス。奥側の側面に有線接続用のUSB Type-C端子があり。仮にこのモデルを有線接続メインで使うとしたらUSB Type-Cでのケーブル着脱式はプラス要素ではないかと。というのも有名どころのキーボードでも近年出した製品でMiniUSBがありましたからね・・・ちゃんと最新仕様にしているここも評価したいところです。

電池ボックス。単三電池をはめ込むだけ。電池寿命が実動でどれほど持つのか尽きるまで使ってみないとわかりませんが、単三なら充電池などで備えておくのも容易でしょうから、神経質にならなければバッテリーの長さなんて気にする事でもないかと。ゲーミングキーボードの部類なんて下手すれば数日しか持ちませんからね・・・それを体験していると仮に3ヶ月だとしても長い方だと感じます。

スタンド。多段調整はできないシンプルなタイプですが、立てる立てないのどちらの場合でも接地面に滑り止めのパーツが設けられているので、こういう細かい部分にも気を使った作りになっているのは感心。ちなみに立てた場合の上昇値は15mmくらいです。

フレーム前方。この部分の高さを測ってみると最先端が約15㎜、天板パネル継ぎ目のところが約18㎜ほど。見た感じも低いですし実際使ってみても相応に低いです。

色合い。製品情報では本体色がブラックになっていますが、その色合いはなんというか一般向け製品のブラックという感じ。ゲーミングデバイスのブラックと見比べると真っ黒ではないのがわかります。見方によってはフレームもダークグレーと言えるかもしれません。

実重量。測ってみると製品情報どおり約1.3㎏の結果に。テンキーレスでこの重さ・・・実際に持ってみても(キーボードとしては)めちゃくちゃ重いと感じます。先代も1kg超でしたが大きめのフレームかつワイヤレスになった影響か、さらに増加する形に。ワイヤレス対応になったからって持ち運びする用途で使おうと考えているなら止めた方がいいでしょう。でも言い換えれば重量に相応して重厚かつ頑丈な品質の高い作りになっています。
ソフトウェア

このキーボードはREALFORCE CONNECTなる専用のソフトウェアが利用できます。導入する際にちょっと驚いたのはダウンロードがフリーではなくシリアルナンバーやメールアドレスなどを登録しないといけない点。まぁ対応のキーボードを所持している人しか使わないでしょうから別に気にする事でもないでしょうけど、このケースは初めてだったので良くも悪くも新鮮でした。それとソフトウェア対応といってもBluetooth接続では認識されず、使用の際は有線接続しないといけません。でもこのキーボードで設定を頻繁に変える事もないでしょうし許容範囲かと。

トップの画面。接続デバイスの情報、ヒートマップ、バッテリー残量、無線の接続状況、などが表示されます。・・・・ヒートマップ?なんだそれ?と思いましたが、要はよく使うキーの使用状況が表示される機能です。画面の表示はソフトウェアを導入したばかりの時、いま確認したら総打鍵数がとんでもない数字になっていますしリアルタイムで反映されます。ちなみにバッテリー残量は2週間ほど使った現時点で75%になっていましたから、自分の使い方だと付属電池での電池寿命は2ヶ月くらいでしょうか。

APCの設定画面。特徴の一つとしているAPC機能はアクチュエーションポイントを[0.8mm][1.5mm][2.2mm][3.0mm]の4段階で変更が可能。また、このソフトウェアではキー個別に変更する事が可能で、そのプロファイルは2つほど登録可能。キー入力の浅い深いは実際に押し比べるとはっきりとわかります。でもこの機能を最大限に活かすためにはキーストロークを浅くする別売りのキースペーサーセットが必要だとも思います。個人的には1.5mmの標準な状態でいいかなとも思っていますが、いざキースペーサーを導入したら考えは変わるかもしれません。

キーマップ入替の画面。各キー入力の割り当て=カスタマイズが可能で、下に表示される一覧から割り当てたい入力を画像のキーに向けてドラッグ&ドロップする仕組みになっています。割り当ての内容は通常の入力やマルチメディアキー、それとFnキー+〇に備わるペアリングなどの独自入力も可能。また、2つのキーを組み合わせるユーザープリセットも設定できるようになっていますが、マクロみたいな複雑な入力は組めません。

[…]の設定画面。右上の[…]をクリックするとプロファイルマネージャー・アクセサリ(キースペーサー・パネルシート印刷)・設定リセットの項目が表示される。プロファイルマネージャーはその名のとおりプロファイルの管理ができる。アクセサリはキースペーサーを導入する際にここで設定の変更が必要、パネルシート印刷は天板パネルのデコレーションができる付加機能ですけどパネルデザインキットを別途で購入が必要になります。

設定の画面。ソフトウェアのバージョン情報、UIの背景を変えるインターフェイス・デバイス、リフレッシュ、の項目があり。UIの背景変更については見ればわかる事なので以下のとおりです。

UIの背景変更(インターフェイス)。設定画面から背景にしたい画像を選択するとご覧のとおりUIのバックを好きなものに変えられます。

UIの背景変更(デバイス)。こちらはキーボードの天板を好きなものに変えられる。上記のパネルシート印刷がどんな感じになるのがバーチャルで見れる形です。・・・ソフトウェアに関しては有線接続での使用に限られる事を許容すれば難点は特にありません。一通り触れてみれば内容は把握できるでしょうし、わかりやすく使いやすい方だとも思います。
使用感

肝心の使用感について触れていく前に、ここで自分が使っている機種をおさらいしておきます。テンキーレス、ハイブリッド、キー荷重:45g(静音)、という仕様です。まずは基本的な事であり一番大事なところでもある打鍵感・打鍵音に触れると・・・”さすがはREALFORCE”という言葉しか出てきませんかね。
静電容量無接点キーボードはHHKB Professional JP使っていた事があるくらいで新旧を使い比べたわけではありませんが、スコスコな感触は良い意味で相変わらずだけれどもキーを押した後の安定感が半端ないです。箱から出して少し触れた時点でやっぱりモノが違うなと思ったほど。HHKBの時は別にそこまで思わなかったのにこの安定感の違いは何でしょうか・・・考えられるのは重量が1.3㎏もあるだけあって土台と言える部分がかなりしっかり作られているのではないかと。
キー荷重に関してはさらに軽快な30gのモデルもありますが、この45gは客観的に見てもちょうどいい感触で万人向けと言えると思います。これでも十分軽いと感じますから30gはむしろ玄人向けなのでは。打鍵音に関しては静電容量無接点のスイッチを静音仕様にしただけあって、耳に響くような高い音は発生しないソフトにコトコト鳴る感じで至って静かです。メカニカルのピンク軸みたいなものとは違って打鍵感にほとんど影響を与えず静音になっているところはいいですね。

手のポジションに関してはフレーム前方が低い方なので素の状態でもスムーズにタイピングできますが、普段からパームレストを使っている人はあった方がなお良いかなと。自分はFILCOの「FILCO 漆塗りリストレスト」(AA)と組み合わせて使っていました。パームレストの方が少し高さがあるけれども違和感なく快適に使えていたので、汎用的な木製ならおそらくどれでも合うでしょう。東プレ自身が純正品を出してくれれば一番なんですけどね。

ワイヤレスの接続に関しては自分のPC環境が無線LANアダプターに備わるBluetooth機能で接続していた形、アダプターのアンテナはデスク下に設置していてキーボードとの距離は天板を挟んで60cmくらいですが、これまで何も気にする事はなく非常に安定しています。遅延は文章を打つ基本的な使い方だとまったく気にならず。受信側の環境をちゃんとしたもので整えれば問題が発生する事は滅多にないんじゃないかなと思います。

マルチデバイス機能の接続・切り替えに関してはPC・スマートフォン・タブレットの3つを登録して試してましたが、切り替えの際にかかる時間は大体1~2秒で遅い時でも3秒~くらいです。この面も差が出るとすれば受信側が原因でしょう。自分の環境ではこの切り替えスピードなら十分速いと思いますし標準的だとも思います。安定性はそれぞれの機器で使ってみても至って良好です。

スリープに関して。各所のレポートを巡っていると指摘している人がちらほらいましたし、自分も欠点になりそうだと思うところを強いて挙げるならスリープの仕様です。巷に出回っている大半のワイヤレスキーボードはスリープに入ってもどれかのキーを押す事で解除される仕組みになっていると思いますが、これはそこが特殊になっていて初期の状態だと10分の未使用でスリープに入って解除は電源スイッチを長押ししないといけない。これだと誰が使ってもストレスを感じると思います。ただし4パターンあるエコモードの変更でそのストレスは緩和されるとも思います。

エコモードに関して。4パターンの詳細は画像を参考にという事で初期の状態はモード1になっています。1~3のいずれもスリープ解除は電源スイッチの長押しをしないといけませんが、モード4のみどれかのキーを押す事で解除が可能です。ワイヤレスで常用するならモード4の一択になるでしょう。ただしPC側を電源オフ・再起動・スリープするとキーボード側は実質電源オフになってモード4でも電源スイッチを押さないといけません。あと、電池の節約が可能~という記載から察するにモード4が電池を一番食うのではないかと。
この件についてフォローしないまま終わると実は大きな欠点ではないかと思ったりするかもしれませんが、スリープの特殊な仕様は使っていくうちに体が無意識に覚えて慣れるとも思います。自分が2週間ほどメインで使った段階で語らせてもらうとPCを起動orスリープ解除する際に電源スイッチを押すクセがついていますし、席を離れて戻る場合に接続状態をインジケーターで確認するクセもついています。なので1ヵ月~2ヵ月~と使っていけば何とも思わなくなるんじゃないかと。メインで使っていく心意気があれば許容もできるでしょう。
おわりに

最後にまとめる形で感想を。日本製プレミアムキーボードの最高峰と大々的に謳っているだけあって、その使い心地は比類なき安定感の高さを感じるものでした。上記の使用感で述べたとおり箱出しの段階でモノが違うと実感できるものは今まで巡り合った事がなかったので、REALFORCEが良いのはわかっていたつもりでもちょっと驚くような体験でした。伝わるかどうかはわからない例えをするとレースとかで大本命・一強と言える存在が出てきて、実際に走るとため息の出るような強さで(やっぱり格が違うわ・・・)と思うような事があるじゃないですか、あれと似たような感覚です。価格も最高峰だけれど製品自体も最高峰でこれは他がどうあがいても太刀打ちできないだろうし、競合する気も起きないだろうなと。
あと、このキーボードを最初に見た段階でイメージしたのは”仕事道具”。品質の高さは一目瞭然だけれども一般的に言う高級感のそれとは違う、オシャレとかスタイリッシュとかそういう言葉も当てはまらない、知らない人が見たら事務用品の一つ程度の認識になるだろうなと。言い換えれば知っている人にターゲットを絞って実用性に全振りしたキーボードではないかと感じるものです。でないと原点回帰したような作りにはならないでしょうし。別売りのパネルデザインキットで着せ替えできる付加機能はありますけど、通常の状態は見た目も中身も最上級の業務用と表現したいですね、もちろん良い意味で。
前述のとおりREALFORCE R3は現時点で計20モデルも用意されており、その一つであるこのR3HC11は現在34,540円の価格で販売中。専門品・特注品みたいなものを除けば市販品で一二を争うほどの高額、各社のフラッグシップがどんどん高くなっている業界全体で見ても飛び抜けて高いものですが、価格に見合った出来になっていると自分は評価できます。他社の製品だとせいぜいキーレイアウトかキースイッチが選べる程度のラインナップなのに、これは最初からとんでもないバリエーションの多さで英語配列版も後から出る可能性が高いので、そこも大きなアドバンテージになるでしょう。