DELL 『AW310M』 レビュー ~見方次第では稀少なワイヤレスゲーミングマウス~

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2019年10月に発売されたDELLのマウス「AW310M」。
AW610M」と共に登場したALIENWAREブランド初のワイヤレスゲーミングマウス。こちらは仕様にいくつかの違いがある下位モデルですが、価格の割に内容が良さげだったので試しに購入。前回の購入報告に続いて今回は自分なりのレビューでもしてみます。

ALIENWAREワイヤレス ゲーミング マウスAW310M | Dell 日本
https://www.dell.com/ja-jp/shop/accessories/apd/570-abcr



製品概要


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まずこのマウスの製品情報をおさらいしておくと、通信方式:2.4GHz、センサー:光学式、解像度:12000DPI、トラッキング速度:400IPS、最大加速度:40G、ボタン数:6、バッテリー:単三電池1本、電池寿命:最大300時間、サイズ:幅77.6x奥行き133.7x高さ49.2mm、重量:110g、という仕様。

最新世代のカスタムAlienwareネイティブ12000DPIセンサー、オムロン製マイクロスイッチ採用、DPI/バッテリーインジケーター搭載、人間工学に基づいた独自設計エッジフリーデザイン、メインクリックメカニズムテンションによる快適なクリック感、などが特徴。ここで先に言っておくと製品情報に記載されているいくつかの仕様や技術は誤りがあります。


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内容物はマウス本体・USBレシーバー(本体収納済み)・USBケーブル・乾電池・ガイド類、など。ケーブルは有線接続用ではなくUSBレシーバー延長用(このモデルは有線接続に対応しておらず)。

外観・各部の詳細


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◆表面・・・・このマウスはサイドボタンを除けば左右対称の形状で、後部はスカートが広がっている戦闘機チックの特殊なデザイン。全長130mm超の大型サイズだけれども後部のスカートを除けばスリムなので数字ほど大きさは感じないかも。メインクリックのエリアは左右とも分離したスプリットタイプ。ホイールの下にはDPI切替ボタンがあり、さらにその下はDPI/バッテリーインジケーターがあり。


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◆裏面・・・・表面と同じく左右対称の構造。センサーは中央の位置に搭載されており、その下には電源スイッチがあり。ソールは前後と中央の3ヵ所に搭載。また、ソール間の部分がカバーになっていて、その内部に電池ボックスとレシーバーポケットがあり。


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◆左側面・・・・大きめのサイドボタンが2個搭載。前方から後方の中間までスリットが入っていますが、これは単なる切れ目で何か特殊な加工がされているわけでもなし。前から後ろにかけての形状は割とキレイな湾曲を描いているけれども、中央部~後部は”くびれ”のある独特な作りになっていますから、手を置くとその部分が妙に細身というか極端な形状に感じるかも。


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◆右側面・・・・サイドボタンがない事を除けば左側面と以下同文。


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◆前方・・・・先端は横一杯に光沢パーツが設けられている。メインクリックのパネルはフラットではなく微妙に丸みを帯びている形状。


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◆後方・・・・スカートが広がっているようなこの構造は珍しいというか、似たようなゲーミングマウスは過去を遡っても一つあるかないかのレアなタイプではないかと。中央にはALIENWAREのトレードマークが入っている。


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◆ボディ素材・・・・いくつかのパーツを組み合わせて構成されている筐体は同じ素材が使われている。~5,000円クラスによく使われている特殊な表面処理はされていないプラスチッキーな質感。安っぽいのでこのあたりは価格相応。


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◆メインクリック・・・・マイクロスイッチに関しては製品情報に5000万のオムロン製と記載されていますが、上位モデルの分解レポートを見ると2000万回のもの(D2FC-F-7N(20M))が使われていましたから、これもおそらくそれが使われているのではないかと(もしくはさらに下のもの)。メインクリックメカニズムテンションに関してもそういう間に何か挟んだような感触ではないので、ちょっと疑ってしまう。クリックは全エリアで押せる作りになっています。


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◆ホイール・・・・1ステップずつ回せるタイプ。回転はヌルヌルした感触かつラチェットの抵抗は緩めなので、軽く回す力加減の慣れが必要かも。


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◆インジケーター・・・・RGB LEDが使われていて特定のカラーでDPIの設定段階やバッテリーの残量状態が判別できるようになっている(DPI切替はデフォだとブルー・イエロー・レッドで発光、バッテリーは10%以下になるとオレンジで点滅する)。ソフトウェアで消灯させる事も可能。


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◆サイドボタン・・・・割と大きめのサイズで2/3くらいにあたる下側の部分は光沢パーツが使われている。クリックの感触的にマイクロスイッチが使われているだろうけれども、その感触はやけに緩いのでカチカチなのにペコペコしているという何とも表現しづらい。


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◆サイドパネル・・・・前述のとおりサイドのスリットは単なる切れ目。指のホールドに少しは効果があるので無いよりはマシかと。


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◆ロゴ(トレードマーク)・・・・上位モデルはこの部分もLEDで光ったりしますが下位モデルのこちらは光沢になっているだけで、さり気なく主張している感じ。


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◆ソール・・・・購入報告の時にも指摘しましたが先端が尖っていてマウスパッドに引っかかる。使っていてマウスパッドがジョリジョリと削られているのを体感できるくらい。カッターでその先端の尖りを切るなど処置が必要になると思います。


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◆センサー~電源スイッチ・・・・センサーの位置はど真ん中。センサーまわりにもソールがつけられていて、この部分は尖りがないので問題なし。電源スイッチも指一つで操作できるので問題なし。一つ注意点は電源を切るとソフトウェアによる設定がリセットされます。


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◆カバー・・・・裏面にある電池ボックス&レシーバーポケットを覆うカバーはマグネット着脱式。後部の隙間に指先をほんの少し挿し込めば簡単に外れます。


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◆レシーバー・・・・専用品と思われる。サイズは至って普通というか小型サイズに該当する大きさでしょう。


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◆ケーブル・・・・レシーバーの延長用として付属しているものですがPCからよっぽど離れている位置で使用する環境か、電波の干渉が激しい環境でければ使う機会もないかと。

ソフトウェア


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ソフトウェアは統合型のAlienware Command Centerを使用。マウスやキーボードだけでなくPCなどALIENWAREの製品すべてこれで設定できるようになっているので、マウスだけ使う場合だと触れないであろう項目が結構あり。マウスの設定は上記の”FX”を選択すると本体の画像が表示されて、そこから進めていく形。その画像の隣にはバッテリー残量の数字も表示される。


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デバイス設定の編集でこのマウスを選択すると”設定”のカテゴリが表示される。基本的な設定・調整を行うところで[設定]の項目では上から順に見ていくと、ポーリングレート遅延は実質ポーリングレート数値の選択で1~4で選ぶ形になっている(1=125Hz、2=250Hz、3=500Hz、4=1000Hz)。[マウスアクセラレーション~]はチェックを入れると有効になる。[プライマリおよび~]はチェックを入れるとメインクリックの左右が入れ替わる。その下はダブルクリックやスクロールの速度を調整可能、傾斜やLODの項目はおそらく上位モデル用で調整不可。


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[DPIの設定]はその名のとおり100-16000DPIの範囲を100刻みで設定できる。設定段階は3つで増やす事も減らす事もできない。


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[較正]はLOD=リフトオフディスタンスの調整というかサーフィスキャリブレーションを行うところだけれども、これも上位モデル向けのようで使用は不可。使えないならハナから非表示にしてほしいところ。


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[更新]はマウスのファームウェアを更新できる場所。最新Ver.が上がっていると更新可能と表示され、それを当てていれば更新不要だと表示される。初期状態に戻す事も可能。


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”マクロ”のカテゴリに移るとマクロの登録やボタンの割り当てができる・・・・はずなのだけれども、割り当てができない。本体の画像ではサイドボタンとホイールが選んでくださいとでも言わんばかりにグリーンのラインで光る、でもそこをクリックしても何も起こらない。製品情報に記載されているカスタマイズ可能な6ボタンとはいったい・・・・。とりあえず言える事はウチの環境だとボタンのカスタマイズが一切できません。


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”照明”のカテゴリではインジケーター=LEDのカラーと輝度を設定できる。デフォルトだとブルーですが好きな色を選ぶ事ができ、黒を選ぶと消灯に。発光パターンは右上のボタンを押せば選択画面が出てくる、しかしそれも上位モデル用でこれには不要の項目。・・・・ソフトウェアは設定できないものがいくつもあって、設定できるはずなのにできないものもいくつかあって、印象は正直言って悪い。特に製品情報で設定できますよと明記しているものが嘘になっているのはどうかなと。大手のゲーミングデバイスメーカーに比べると詰めの甘さを感じる部分でしょうか。

実重量と軽量化の実践


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重量に関してはバッテリーが単三電池なので軽量化を試みる事が可能。まず実重量を量ると電池抜きの本体は約90gの結果に。


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付属の単三電池はアルカリのEnergizer Max。容量はパッと調べても出てこなかったので不明ですが、この実重量は約23gの結果に。


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本体+付属電池=約113g、公称は110gだったので少し重い。ワイヤレスゲーミングマウスとしては重い部類に入らないけれども、これより軽いモデルはいくつも存在するので人によっては重い方だと認識するかも。


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乾電池での軽量化に関しては「G604 LIGHTSPEED」のレビュー記事に詳細を載せているので、そちらも参考に。手持ちの単四電池と変換スペーサーで一番軽いものを組み合わせると約13gの実質単三電池が完成する。


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バッテリーに単四電池+変換スペーサーを使うと約103gになって、約10gの軽量化が可能という結果に。全長130mm超の大型サイズで約103gなら軽い部類に入るのではないでしょうか。


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また、裏面のカバーを外すと100g以下=約98gにする事が可能。外しても使用に支障は出ないのでとにかく軽くしたい場合は最終手段になるかと。あんまり激しく動かすと電池が落ちる可能性もありそうですけど。

使用感


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サイズは寸法的に大型でも割と細身かつ後部のスカートが広がっているので、握るスタイルの自由度は意外に高い。最初は”かぶせ持ち”が最適解だと思いましたが”つかみ持ち”でも同じくらい良い感じですし、小指をくるめてスカートの部分に置くような少し変わったスタイルも取れますし、手の大きさはよっぽど小さい人でなければ幅広く対応できるのではないかと。ただ、自由度・汎用性は高いけれども特殊な形状なので人によってはベストポジションが取れないかもしれない。例えば自分の場合”かぶせ持ち”だと手の母指球~小指球あたりが筐体にぴったり当たらず少し浮く感じになり、本体の頭頂部がやけに高いというか突っ張ってるように感じもするので、問題なく使えるけれどもこれがベストとは思えないです。


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重量感は上記の軽量化を実践すれば重いとは感じない。むしろこのサイズだと有線モデルでも大半が100g前後でしょうから、それに近い重量で使えるなら十分に軽い方だと思う。重心のバランスは乾電池を軽くしても崩れはしないので気にする事も多分ないかと。それよりも”持つ”という面では筐体の表面処理が手の状態によって良し悪し分かれるかも。前述のとおり全体的にプラスチッキーな安っぽい質感、寒い時に手が乾燥してると少し滑る感じでしっかり握れませんし、暑い時に手汗が出るとベタつきが気になりそうですし、握りやすいのは程よく湿り気のある手の状態に限られそう。


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センサーはMouseTesterあたりで検証すると気になる点が出てくるかもしれませんが、体感で飛びや不具合を感じる事はありませんでしたから自分は至って良好だと評したいところ。ソフトウェアで調整できなかったリフトオフディスタンスは手軽に検証できる1円玉(厚さ:約1.5mm)でやってみると、1枚では普通に反応して1枚ではまったく反応しない。500円玉(厚さ:約1.8mm)でやってみると反応はするけれども些細な傾きを加えると途切れますから、おそらく~2mmでしょうか。


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メインクリックの感触は一昔前のモデルでよくあったスイッチをカバーで直接押してるようなダイレクト感があり。メインクリックメカニズムテンションなるものは備わっていないのかもしれないし、備わっているならいるでその効果は大してない気も。クリック音は大きめでストロークは少し深い。ホイールはヌルヌルの感触で軽く回る、ホイールクリックは少し硬い。このあたりは良くも悪くも価格相応という印象。


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サイドボタンは前述のとおりカチカチなのにペコペコにも感じる押し心地で、これが良いのか悪いのかは何とも言えない。2つのボタンは分離した配置でサイズ大きめですから押しやすいと言えば押しやすいです。


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ソールはここも前述のとおり先端が尖っていてマウスパッドに引っかかるので事前の対策が必要。その対策をして慣らしていけば気にする事もなくなっていきますし、滑りは至って良好なので今の状態なら欠点にならないでしょうか。


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接続に関してはPC裏のUSBポートに接続したレシーバーから約70cmの距離で使用、周辺でワイヤレスの機器は他に使っておらず、その環境では安定していて何ら問題なし。ポーリングレートは検証でちゃんと1000Hz出ていますしカーソルの動きに遅延も感じられなかったので、現代のゲーミングシーンに通用するレベルと言っていいでしょう。


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バッテリーは550mAhの単四電池+変換スペーサーを最初から使っていましたが、どれくらい持つかはちゃんとした検証をしていないので参考程度に。この電池を導入してソフトウェアで残量を見ると60%前後の表示。LED消灯が前提で減り具合は半日くらいPCを使う場合だと1日で5%前後。ハードに使う場合でも10日は持つでしょうし、1日2~3時間の使用なら1ヵ月は十分に持ちそう。付属のアルカリ電池ならその倍以上は持つでしょう。電池効率はワイヤレスゲーミングマウスの中でも良い部類に入ると思います(手持ちの中では一番良い)。

総評


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最後にまとめる形で感想を。自分の環境では機能しないものがいくつもあり製品情報は疑わしい部分がいくつもあり、ソールは手を加えないと支障が出るわでこうしてまとめてみると難点が多くてちょっとどうかなと思う。でも価格とか立ち位置とか後から冷静に考えると備わっている方がおかしいと思う部分もありますし、6ボタンのシンプルなタイプなので別にカスタマイズできなくても特に問題ないですし、難点の大半は許容or妥協できるのではないかと。

ワイヤレスゲーミングマウスとしては(難点を許容できるなら)ほとんどの部分に及第点が出せる出来だと思います。突出して良いところは何もない反面ここが致命的にダメだというところもなし、センサーやワイヤレスの精度は至って良好でバッテリーの持ちは良い方ですからゲーム(ジャンルは当然選ぶ)でも普段使いでも十分使いものになります。それに価格・サイズ・重量など見方次第では稀少な存在になるのではないでしょうか。

この「AW310M」の価格は現在6,000円前後。その価格帯に位置するワイヤレスモデルがそもそも少ないですし、大型サイズに該当するものは他に存在せず。また、全長130mm超の大型サイズは価格問わずで見ても限られており、その中では(軽量化を実践すれば)重量が一番軽いはず。6,000円前後で大型サイズで重くないワイヤレスゲーミングマウス・・・・他にはありません。ありませんがそこに価値を感じるかはその人次第だとも思います。