ロジクール 『MX Keys』 レビュー ~高品質で高性能の薄型ワイヤレスキーボード~

MX_Keys_01.jpg


2019年9月に発売されたロジクールのキーボード「MX Keys」。
MX Master 3」と共に登場したハイエンドクラスのワイヤレスキーボードで、厚さ20.5mmのスマートデザインでありながら精確なキーストロークと快適な打鍵感を実現したと謳っているモデル。こちらも実機を試す機会のいただいたので自分なりのレビューをしてみようと思います。

MX Keysワイヤレス イルミネーション キーボード
https://www.logicool.co.jp/ja-jp/product/mx-keys-wireless-keyboard



製品概要


MX_Keys_02.jpg


まず製品情報をおさらいしておくと、このキーボードはハイエンドクラスの位置付けで展開しているMX Masterシリーズのワイヤレスキーボード。通信方式:2.4GHz(Unifying)/Bluetooth、キーレイアウト:113キー日本語配列、キー構造:パンタグラフ、キーピッチ:19mm、キーストローク:1.8mm、押下圧:60±20g、バッテリー:内蔵、電池寿命:最大10日間(LEDオン)/最大5ヶ月(LEDオフ)、充電時間:約4時間、インターフェイス:USB Type-C、サイズ:幅430.2x奥行き131.63x高さ20.5mm、重量:810g、という仕様。カラーはグラファイトの1色。

精確なキーストロークと快適な打鍵感を実現したPerfect Strokeキー、メタルプレートを採用した堅牢でスマートなデザイン、近接センサーが手を検知して自動でキーバックライト(ホワイト1色)が点灯するスマートイルミネーション、最大3台のデバイスを瞬時に切り替えられるEasy-Switchボタン、USB Type-Cのインターフェイス採用、最大3台のPCをシームレスに操作できるLogicool Flow対応、専用パームレストあり(オプション)、などが特徴。


MX_Keys_03.jpg


パッケージからインナーボックスを取り出して開けると、包装紙に包まれたキーボード本体がまずお目見え。キーボードでビニールではなく包装紙を使っているのは初めて見る。この時点で下のクラスとは扱いが違うのを認識します。


MX_Keys_04.jpg


内容物はキーボード本体・USBレシーバー・USBケーブル・保証書などペーパー数枚。説明書は入っていませんがインナーボックスにちょっとした説明書きが記載されていますし、ソフトウェアを導入して多少触れれば大体わかるのではないかと。

外観・各部の詳細


MX_Keys_05.jpg


★全体表面・・・・113個のキーをメタルプレートが囲み、その後部にはユニットが備わっている構造。スリムなロングサイズの外観。


MX_Keys_06.jpg


★全体裏面・・・・上記で触れた後部のユニットが出っ張っていてスタンドの役目もに立っている。前後6カ所に滑り止め用のラバーパーツが搭載。ラベルは存在せず型番やマークは特殊なプリントで刻印されている感じ。


MX_Keys_07.jpg


★全体前方・・・・後部のユニットを除けばフレームもキーもぺったんこな薄型デザイン。


MX_Keys_08.jpg


★全体側面・・・・ユニットの高さ分だけ傾斜がかかっている。ちなみに各部の厚さは目視でキーが約2㎜、メタルプレート=フレームが約6㎜ほど。


MX_Keys_09.jpg


★表面(左側)・・・・キーレイアウトは標準的と言えそうな日本語配列、いやよく見ると半角/全角~の列は若干左寄りになっているので、そこは使っていて違和感あるかもしれない。あと、一部のキーはサイズが大きかったり小さかったりする。Esc~の上一列や半角/全角のキーは同社キーボードだと見慣れているから別に変でもない。Ctrl~の下一列は結構独特かなと。


MX_Keys_10.jpg


★表面(右側)・・・・カーソルキーやテンキーまわりは至って標準的なので特に引っかかる点は無し。


MX_Keys_11.jpg


★キートップ①・・・・上一列と左Ctrl~右Ctrlまでの下一列を除いたキーは指先の形状に合うようトップが球状にくぼんだ加工がされている。刻印はかな文字が入ったタイプで加工処理もキレイ、ちょっとやそっとで削れることはないはず。ここであらかじめ言っておくと自分はかな文字不要派なので無い方が断然いい。でもこれは一般向けのワイヤレスキーボードですから、客観的に見てかな文字があるのはむしろ普通ですかね。


MX_Keys_12.jpg


★キートップ②・・・・かな文字が入っているのはまだいいとして、一部のキーは異様に刻印が多くてそこは引っかかる点。1つのキーに6個も文字やマークが入っているのはさすがに好意的には見れない。一般的な日本語配列はこんな事になっていないし、同モデルの英語配列版は至って普通の刻印になっているし、どうしてこうなった。ここは唯一の減点要素と言えるかもしれません。多方面に配慮した結果、スマートなキーボードなのにごちゃついた見た目になってしまって正直もったいない。


MX_Keys_13.jpg


★ファンクションキー・・・・F1~F12のキーはバックライトの調整やメディアコントロールがデフォルトで割り当てられていて、刻印もそちらが優先に入っている。ただ、Fn+Escで切り替えられるしソフトウェアで逆の設定にしておくのも可能。割り当て自体の変更も可能、詳細は後述。


MX_Keys_14.jpg


★Easy-Switchボタン・・・・Insert~の上に搭載されており、トップの左上にはインジケーターが備わっている。デバイスの登録は直感的にできます。


MX_Keys_15.jpg


★電卓~ロックキー・・・・右上に備わる4つのキーは電卓・スクリーンショット・アプリメニュー・ロックがデフォルトで割り当てられている。ここもソフトウェアで割り当ての変更が可能。その上にはインジケーターが備わっており、電源を入れた時やバッテリーが少なくなった時にそれぞれの色で発光する。


MX_Keys_16.jpg


★キー下一列①・・・・独特になっていると上記で触れた下一列は6つのキーが少し横長のサイズ(どれも均等)で、Ctrlキーが両方とも小さいサイズになっている。


MX_Keys_17.jpg


★キー下一列②・・・一般的な日本語配列と比べたらやや特殊に思えるけれども、ロジクールのキーボードは上位も下位も大体こんな感じなので、仕様と思っておいた方がいいでしょう。


MX_Keys_18.jpg


★ロゴ・・・・ユニット部の中央に”logi”のロゴがさり気なく入っている。光ったりはしません。


MX_Keys_19.jpg


★メタルプレート・・・・ほんの少しザラつきのあるマットなダークグレイで、指紋が付いてもほとんど目立たず。質感はかなり良くて薄くても強度がしっかりしていて高級感あり。


MX_Keys_20.jpg


ゴム足/ラバーパーツ(前方)・・・・滑り止め用のラバーパーツは少し盛った形状になっていて、グリップの効きは結構良い。一般的な天板に置いて使うなら重量が結構ある事も加えてズレる心配は多分ないと思う。


MX_Keys_21.jpg


ゴム足/ラバーパーツ(後方)・・・・後方のラバーパーツは少し出っ張っている程度でユニットの形状に合わせている感じ。グリップの効きは前方ほどではなくそれなり。


MX_Keys_22.jpg


★刻印(裏面)・・・・先で触れた裏面の型番やマークは照明を当てないと見えないレベル。それと裏面はメタルプレートではなく強固な樹脂製。見た目は金属製かと思うくらい良質です。


MX_Keys_23.jpg


★電源スイッチ・インターフェイス・・・・背面の右側に物理式の電源スイッチとUSBTyep-Cのインターフェイスが備わっている。至って普通の作りなので特に語る事もなし。


MX_Keys_24.jpg


★キースイッチ・・・・パンタグラフとなっているキースイッチはシザースイッチと呼ばれているタイプ。メカニカルみたいにメーカーや種類を語られる事もないので、これがいいものかそうでないかはよくわからない。


MX_Keys_25.jpg


★キーキャップ(表面)・・・・おそらくABS製の薄型です。


MX_Keys_26.jpg


★キーキャップ(裏面)・・・・キースイッチに取り付ける部分が繊細な作りになっている。取り外しは慎重に時間をかけてやらないとすぐに破損しそうでしたし、キーキャップの着脱はできるだけやらない方がいいかと。


MX_Keys_27.jpg


★キーバックライト①・・・・写真ではわかりづらいかもしれませんが、ホワイトのキーバックライトは輝度を最大にすると結構しっかり光る。でも眩しいほどではなく適度な光り方。近接センサーは手を盤面の近くまで持っていくとキーに触れずとも発光するので機能しています。


MX_Keys_28.jpg


★キーバックライト②・・・・使用前はキー周辺しか光らないと思っていたので、刻印も満遍なく光ったのはちょっと驚いた。刻印が多いキーもムラなく光ります。

ソフトウェア


MX_Keys_29.jpg


続いてソフトウェアを見ていく事に。使用するのは最新版のLogicool Options。マウスのMX Master 3など既に登録している場合は選択画面がまず表示される。


MX_Keys_30.jpg


トップ画面は”キーボード”のカテゴリ。ここでは白に光っているキーのカスタマイズ(Fnキー除く)やF1~12の切り替えが可能。


MX_Keys_31.jpg


キーのカスタマイズはショートカットやメディアコントロールなど一通りの割り当てが可能。ただしキーバックライト関連はデフォルトで割り当てられているキーしかできず。例えばF1キーの[輝度を下げる]はF1キーしかできないようになっています。


MX_Keys_32.jpg


カスタマイズはできないFnキーを押してみると、登録しているマウスと連携できますよーと表示される。


MX_Keys_34.jpg


連携するマウスを選ぶと”マウス”のカテゴリに移行して、マウス単体とは別のカスタマイズ画面(DUOLINK)が表示される。ボタン6個に前後左右のジェスチャー4個、計10個の新たな割り当てがFnキー+マウス操作で使えるようになります。


MX_Keys_34-.jpg


”Easy-Switch”のカテゴリは登録したデバイスを確認する場所。この画面で切り替えたり遮断するなどのアクションはできないので、本当に確認するだけの場所かと。


MX_Keys_35.jpg


左下に共通で表示されていた[増加]を押すと”その他の設定”に移り、特定のキーを無効にしたりバックライトのオフや通知の設定などが可能。マウスの方でも言いましたがソフトウェアの難易度は正直低いので、よく見ながら使えば誰でもこなせると思います。

使用感


MX_Keys_36.jpg


使いはじめてから10日あまり経った程度ですが、現時点の使用感を述べてみる。上下一列のキーが大きかったり小さかったりするけれども、そのあたりは気にするほどでもないし次第に慣れていく。若干左寄りになっている半角/全角~の列は”1”を打とうとして”2”を打ってたりするタイプミスもあったから、ここも慣れていかないといけない。また、キーを目視で区別する場合はキートップの刻印が多め=目に入る情報量が多いので、最初はちょっと認識しづらい。


MX_Keys_37.jpg


キーの打鍵感は薄いのに割としっかりしている。スペックの数値どおりキーストロークはそれなりにあって、押下圧が60gという事もあって軽く触れた程度では押し込む事はできない。かと言って力強く押さないといけないわけではなく、指先で軽く叩く感じで打てますから適度に重いという印象。あと、本体の重量が810gもある事とフレームの剛性が高いおかげか、底打ちするとたわむような貧弱さは一切ない。薄型でも安定感は非常に良く、要は打ちやすいです。打鍵音はわずかにカチャカチャ鳴るけれども耳に響くほどでもありませんし、静音と言える範囲でしょう。


MX_Keys_38.jpg


手のポジショニングは全体的に薄型かつ程よい傾斜がかかっている事もあって、素の状態でも至って良好。オプションでパームレストが用意されていますが、これなら別になくてもいいでしょう。それとキーボードの固定具合は810gの重量とゴム足のおかげでズレる心配なし。デスクの天板にそのまま置くのはもちろん超大型マウスパッドの上でも何ら問題なし。


MX_Keys_39.jpg


MX Master 3との組み合わせ、言うまでもなく良いです。デザインといいカラーリングといいベストパートナーでしょう。逆に言えばキーボードの方はカラーがグラファイトしかなく、そのグラファイトは割と独特な色合いなので同じカラーのMX Master 3もしくは同シリーズの現ラインナップ品でないと合わないとも思う。機能面もLogicool Flowはマウスがあってナンボですし、Fnキー+マウス操作で使い勝手はさらに良くなるのでメリットが大きい。欲を言えばそのFnキーを左手で押すのはちょっと遠いので、左側にも追加するなりどれかのキーに割り当てられるなりしてほしかったかなと。

総評


MX_Keys_40.jpg


最後にまとめる形で感想を。一部の配列やキーの大きさは神経質にならなければ許容範囲だと思う。刻印の多さに関してはあくまでも個人的な好みでの評価、これくらいあった方がいいという人もいるでしょうから一概に悪いとも言えず。そのあたりはさておき、キーボード自体の品質や性能は一般向けの薄型として考えれば高いと断言できます。特にこの薄さでこの剛性を実現しているのは正直驚きでした。打っていてチープさが微塵にも感じないところは結構すごい事かもしれません。

また、同社キーボードの現ラインナップでは価格どおりの立ち位置だと思います。価格的に下位のモデルと比べてどれよりも上出来。上位のモデルは「CRAFT」(AA)のみ存在しており、両機の差は入力ダイヤルの有無くらいで他の部分は同等ではないかと。そのダイヤルが不要なら後部のユニットが小さい分だけスリムなこちらの方が優位とも評したいところ。フラッグシップモデルから機能を一つだけ省いた高品質で高性能のワイヤレスキーボードと見ていいでしょうね。




Logicool(ロジクール)
売り上げランキング: 13