ロジクール 『MX Master 3』 レビュー ~さらに進化したハイエンドのワイヤレスマウス~

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2019年9月に発売されたロジクールのマウス「MX Master 3」。
MX Master 2S」の後継機でありシリーズ第3世代となるハイエンドクラスのワイヤレスマウスで、新開発のMagSpeed電磁気スクロールや新形状のエルゴノミックデザインを主な特徴としているモデル。実機を試す機会をいただいたので自分なりのレビューをしてみようと思います。

ロジクールMX Master 3ワイヤレスマウス(高速スクロールホイール搭載)
https://www.logicool.co.jp/ja-jp/product/mx-master-3



製品概要


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まず製品情報をおさらいしておくと、このマウスはハイエンドクラスのワイヤレスマウスとして名高いMX Masterシリーズの第3世代となるモデル。通信方式:2.4GHz(Unifying)/Bluetooth、センサー:Darkfield、解像度:200-4000DPI、ボタン数:7、バッテリー:内蔵、電池寿命:最大70日間、インターフェイス:USB Type-C、サイズ:幅84.3x奥行き124.9x高さ51mm、重量:141g、という仕様。カラーはグラファイト・ ミッドグレイの2色あり、今回使っているのはグラファイトの方。

ほぼすべての表面で動かせるDarkfieldセンサー採用、従来より90%高速&87%精確かつ静かになったと謳う新開発のMagSpeed電磁気スクロールホイール、人間工学に基づいて本体の形状やボタン配置を見直した握りやすいデザイン、水平スクロールのサムホイール&2個のサイドボタン搭載、ジェスチャーコマンドを使用できるジェスチャーボタン搭載、最大3台のデバイスを瞬時に切り替えられるEasy-Switchボタン、特定のアプリケーションに最適なショートカットをあらかじめ割り当て、最大3台のPCをシームレスに操作できるLogicool Flow対応、などが特徴。


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パッケージからインナーボックスを取り出して開けると、マウス本体やレシーバーは型にはめて固定十分に梱包されている状態。


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内容物はマウス本体・USBレシーバー・USBケーブル・保証書などペーパー数枚。説明書は入っていませんが公式サイトの製品情報を見る→ソフトウェアを導入するで大体は把握できるでしょう。

外観・各部の詳細


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★表面・・・・この第3世代モデルは完全な新デザインになっていますが、MX Masterシリーズらしい左サイドが広がった型は継承している。


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★裏面・・・・電源スイッチやEasy-Switchボタンが備わっており、ソールは上下左右4ヶ所に貼られている。センサーはほぼ中心の位置にあります。


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★左側面・・・・サムホイール・サイドボタン・インジケーター・ジャスチャーボタンが搭載。様々なパーツが組み合わさって複雑な構造になっていますし、この面から見ても特殊な形状になっている事がわかると思う。


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★右側面・・・・ボタン類は何も備わっておらず。表面~側面の継ぎ目はうまく処理されていて、段差や隙間はまったくありません。


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★前方・・・・見えづらいですが下部にUSB Type-Cが備わっています。


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★後方・・・・特殊な形状はこの視点から見るのが一番わかりやすいかもしれない。最高部は結構高い位置でそこから右にかけての傾斜も結構な角度です。


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★トップカバー(前方)・・・・クリックボタンのパネルは左右が分離しているセパレート構造。トップカバーは前後で素材が違っており、この部分はサラっとしたマットなABS製という感じ。


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★トップカバー(後方)・・・・ホイールから両側面に広がって最後方まで一つになっているパネルはおそらくラバー製。ストライプのような模様が入っている部分はちょっと溝になっており、グリップはさらに効いています。


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★ホイール・・・・ラバーパーツとか一切使われていないフルメタル製、使用感については後述。その後ろに高速モード⇔ラチェットモードを切り替えるスイッチがあり。ラチェットモードでも少し強く回すとフリースピンの高速モードに自動で切り替わって、その回転が終わるor故意に止めると元に戻る仕組みになっています。


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★サムホイール/サイドボタン/インジケーター・・・・サムホイールもフルメタル製で全長は約17mm。サイドボタンは前後で分離した細くて小さめのサイズ。インジケーターはサムホイールの隣に配置されていて、電源を入れた際に光ります(バッテリー切れ直前の時も光るはず、しばらくは切れないので現時点では検証できない)。


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★ジェスチャーボタン・・・・左側面の端部にある小さな突起周辺がボタンになっている。


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★インターフェイス・・・・MX MasterシリーズでUSB Type-C採用はこれが初ですから、ここも進化したと言える点。


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★電源スイッチ/Easy-Switchボタン・・・・電源スイッチはスタンダードな物理式。Easy-Switchボタンは①→②→③と順を追って選択する形。番号の部分がインジケーターにもなっていてペアリングの際に光ったり、本体を持ち上げると接続している番号が数秒光ったりします。


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★実重量・・・・約142gという結果。使用するスケールによって誤差は発生しますから、公称どおりと見ていいかと。


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★USBレシーバー・・・・Unifyingのマークが入ったスタンダードなタイプ。


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★USBケーブル・・・・USB-A⇔USB-Cのタイプで長さは1.4mくらい。ちなみにこのマウスの有線接続(電源スイッチを切ってケーブルをつないで使う)は不可。充電しながら使う事は可能。

MX Master 2Sとの外観比較


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(via zfrontier)

続いてユーザーのレポートを参考に先代との外観比較を見てみる。奥行きは先代の方が少し長いけれども前方が尖っている分だけの差と言えるのでほとんど変わらない印象。幅も先代の方が少し長くてその差は左側面のスカートが広い分だと見てわかる。


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高さはこちらの方が2mm以上高くなっており、その差は左側面から最高部を見るとよくわかると思う。先代はサムホイールとサイドボタンが一体化したような配置でしたが、こちらはそれぞれ分離してサイズも大きくなっていますから使いやすさは確実に改善されたはず。あと、インジケーターの位置もこちらの方が見やすくていいですね。


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ホイールはラバーパーツが使われていた先代に対して、こちらはフルメタルに刷新。後述のパーツ詳細で触れますが完全に別物です。


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裏面を見比べるとセンサーの位置やソールの大きさ、それに電源スイッチ~Easy-Switchボタンのパネル部も大きさが違っている。比較レポートによれば裏面全体が最適化されてここも改善点と言えるとのこと。

内部パーツの詳細


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(via weistang)

引き続きユーザーのレポートを参考に分解しないと見られない主要パーツを見ていく事に。分解する際はこれも例外なくソールを剥がさないといけないようですし、何より保証外となるリスクもあるので真似しないように。


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表面側は外しただけの状態だと色々隠れているのでさらに分解しないといけないようですが、サイドボタンやジェスチャーボタンはタクトスイッチが使われている模様。また、クリックボタンにはメカニカルテンションシステムみたいなパーツが使われているようです。


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裏面側はバッテリーがセンサーや各チップを隠している形で、それ以外はパッと見て把握できる状態。


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新開発のMagSpeed電磁気スクロールホイールは取り外してみると、今まで見た事がない随分と複雑でメカニカルな構造。内部の作りはマウスで使われているものとは思えないほどいい意味で異様です。


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ホイールの逆側を見ても驚き。左右非対称の作りって過去に例があったでしょうか。あったとしてもかなりレアな部類かと。


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メインクリックに使われているマイクロスイッチはオムロンのD2FC-F-7N(10M)。ゲーミングマウスだったらエントリークラスのレベルですけど、これは一般向けのマウスなので必要十分。先代も同じものが使われていました。


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センサーは型番がPMW3816DM-TYQUと刻まれており、これも先代と同じもの。つまりDarkfieldセンサーはそのまま引き継いでいる形に。


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2.4GHz/Bluetooth SoCのチップはnRF52832、これは先代より新しいものが使われている模様。


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何の役目なのかはよくわかりませんがマウスの基板にコンデンサが使われているのは初めて見たので、ここも驚いた点。


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バッテリーは容量500mAhのリチウムイオンが搭載。容量は先代と変わらず。

ソフトウェア


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お次はソフトウェアを見ていく事に。使用するのは最新版のLogicool Options。インストールして初期設定を済ませると”マウス”のカテゴリがトップ画面として表示される。ここでは各ボタンのカスタマイズやクリックボタンの左右変更が可能。カスタマイズできるのはメインクリックを除く6カ所。


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カスタマイズの項目はサムホイールのみ選べる割り当てが限られており、他はマクロ登録ができないくらいでショートカットやメディアコントロールなどは全般的に選べるし、キーボードの入力はAlt+Tabみたいな組み合わせも可能。


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ジェスチャーボタンは押したまま本体に前後左右に動かして操作できる種類が豊富に備わっており、他のボタンみたいに普通の割り当ても可能。


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”ポイント&スクロール”のカテゴリは解像度の調整やホイール類の細かい設定が可能。解像度はDPIの数値が表示されないので、そこはちょっと厄介。


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”Flow”のカテゴリはLogicool Flowの設定を行う場所。Flow自体については公式サイトを参考に。機能させるPC同士の初期設定を済ませて後は適当にいじっていたら、どんなものか大体把握できるかと。


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また、右上のマークを押すとアプリケーションの設定欄が表示され、特定のアプリを選択して個別に設定することも可能。あと、下部の中心にあるマークはバッテリー残量とUnifying接続の確認表示。クラウドでのバックアップやら他にも設定項目がいくつかありますが、今はまだ使わないので今回は割愛。ソフトウェアの難易度は正直低いので誰でも使えると思います。

使用感


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使いはじめてから1週間経った程度ですが、現時点の使用感を述べてみる。マウス本体は寸法的に中型以上~大型未満と言えそうなサイズ。ただ、高さが結構あって形状も独特なので大型サイズを好む人に向いている事は間違いないと思う。握ってみるとその独特な形状の影響か先代よりもエルゴノミック感が少し強め。同社のエルゴノミクスマウス=MX Verticalほどではないけれども、そっち寄りのスタイルになっている気がする。個人的には先代よりも握りやすい。トップカバーのラバーグリップは手に熱や汗が少し発すると程よく吸い付く感じになって、それが握りやすさをより高めている。


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重量に関しては上記で述べた握りやすさと新設計による重心バランスが良いのか、140g超という数字ほど重さを感じない。ただし重い事には変わりないのでMX Masterシリーズの新規ユーザーは使いながらコツを掴むのと慣れていくのが必要と思う。自分の場合は今まで使っていたものより解像度をできるだけ上げてマウス自体の動作を必要最小限に抑える。それと持ち上げる際は前方だけ少し浮かせて後方は地につけたまま行う。そういう試行錯誤を何度か繰り返してようやく実用的になった感じでしょうか。これまでワイヤレスマウスは100g台がボーダーラインと決めつけていたので、まさかこのレベルがいけるとは思ってもいませんでした。実際に使い込んでみないとわかりませんね、初日は腕が少々痛くなりましたけど。


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メインクリックは前述のメカニカルテンションシステムみたいなパーツが導入されているので、一般的なものよりメカニカル感が強くかつ正確にクリックできる感触。左右のパネルがセパレートになっているのもその感触をより高めている印象。それゆえに柔らかさはないけれども硬さや重さを感じるほどでもないので、一般向けのマウスとしてはベストに近いベターな作りかと。


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ホイールは一番のウリにしているだけあって正直驚いた。ものすごく軽快に回せるのにガタつきは微塵も発生せず、かつ動作音は非常に静か(ラチェットモードで強く回すと少しカチカチ鳴る程度)。高速モードのフリースピンは無抵抗と言えるほどクルクル回って、目一杯強く回すと10秒くらい回転が続くほど。ラチェットモードで少し強く回すと高速モードに切り替わる仕組みも秀逸。ゆっくり回せばヌルヌルと一つ一つ進んでいくし、少し強く回せばフリースピンに一変するので実用的であり使い分けが楽しくなりもする。先代も同じ仕組みになっていましたが、精巧さが違いますね。


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サムホイールはラチェット感がまったくない、ゆっくりとヌルヌル回る少し重たい感触の回転具合。約17mmの横長サイズなので親指の腹でしっかり正確に回せます。2個のサイドボタンは細めでも前後に分離しているので判別はしやすく、位置的にも押しやすい方だと思う。タクトスイッチが使われているのでクリックは柔らかみのある感触。一つ言える事はどちらも先代より間違いなく使いやすいでしょう。


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ジェスチャーボタンは押せる範囲が割と広く、突起から少し離れた両隣でも押す事が可能。触れる程度では反応しないのでしっかり押さないといけませんが、押しにくいというわけではありませんし誤動作も発生しにくいので実用的かと。


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Darkfieldセンサーはマウスパッドやデスク天板だと何ら問題なく動く。ガラス面でもいけると謳っているので実際にそれを試すと、確かに他の面と一緒で問題なく使える。”ほぼすべての表面をトラッキングできる”という性能は事実でしょう。ポーリングレートは125Hz固定のようなので1000Hzが標準的になっている最近のワイヤレスゲーミングマウスに比べるとカーソルの動きは滑らかではありませんが、その動きに遅延は感じないので普段使いなら十分なレベルです。あと、ソールの滑りは非常に良い。ソール自体は滑りすぎるほどかもしれない、けれども重量がいい塩梅になっているようなバランスで、そこまで重いと感じないのはソールが一因かもしれません。


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Logicool Flowは試す程度に使ってみると、PC間の移動がまるでマルチディスプレイを行き来するような感覚でシームレスに移る。初期設定を済ませれば後は何をしなくても機能してくれるので、複数のPCを常時運用しているような人には画期的なものではないかと。マウスやキーボードを1台用意すればいいだけですし、切替器を用意せずとも事足りますし。

総評


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最後にまとめる形で感想を。MX Masterシリーズは正直言って今まで選択肢に入っていませんでした。高速スクロールホイールやDarkfieldセンサーがどれだけ良くても140g超の重量という時点で使いこなせる想定ができませんでしたし、先代を何度触ってもやっぱり重いよなーと思うばかりでした。しかし今回使ってみてその先入観は崩れる形に。これだけ重くても使い方のコツを掴めば意外にいけるんだなと。ただ、これが先代だったらこうはいかなかったかもしれません。モデルチェンジのレベルで刷新された第3世代モデルだからこそでしょう。ホイールだけでなく左側面の操作類も使いやすくなったのは間違いなし、それに握りやすさも俄然良くなっています。

ホイールに関しては従来のままでもトップクラスの完成度、それをさらに上回る出来になっていますからこれはもう世界一と評しても過言ではないかと。また、一般向けのハイエンドクラスで競合機となる存在はマイクロソフトの1モデルしかないので、トップの座をより強固にした感じでしょうか。以前のロジクールだったら独壇場になると新たな動きを見せず現状維持を続けていたのに、2年程度で後継機を出してきたのも評価したいところ。先々代~先代のユーザーにはもちろん推奨できますし、サイズなど条件が合いそうなら新規の人にも推奨できる一品。重量が許容できてワイヤレスゲーミングマウスのいいところだけを比較しなければ、非の打ち所がないワイヤレスマウスです。




Logicool(ロジクール)
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